世嘉冨(ゆがふ)島の森の奥にあるガジュマル木の上で、島を祝福する守り神・精霊(キジムン)たちが三線を弾きながら口説(クドゥチ)(物語歌)を歌っています。
イヤイヤ、サテサテ
映画をご覧の皆様方よ
人とキジムンの道筋を
口説いてみせましょう
世嘉富島の我々は
琉球王朝の昔より
キジムンキジムンと呼ばれ
島を守っておりました
人は我らを畏れつつ
我らは人を信じつつ
共に手を取り生きれば
弥勒世果報 万々歳ヤサ
南の島に雪が降る
にふぇーでーびる 有り難や
どうぞ我らを
お忘れくださるな
サーサ、ハイヤ
ハンパーキジムンのマジルーは、キジムンの王タンメーに聞きます。
「人間はなぜ、すぐになんでも忘れてしまうんだ?」
「それは、忘れないと生きていけないからだ。人間は我らと違って悲しむ生き物だからな」
「哀れだな、人間は。その人間に忘れられたら生きられない、我らキジムンは、哀れを通り越して滑稽だ」
ゆり子が幼い頃、島には、キジムンを信じる人がたくさんいました。中でも、幼いゆり子は、他の人には見えないマジルーの姿を見ることができました。
「オレさまと話ができる人間に出会ったのは二百年振り」
そして、二人は永遠の絆を結んだのです。
「大人になっても、オレさまを忘れないでいておくれ。オレさまは、いつでもここで待っているから」
でも、この島を離れてから、ゆり子はすっかりマジルーのことを忘れていたのでした。
その間に島は過疎化が進み、キジムンを信じる人たちもいなくなってしまいました。
そんな時に、ゆり子は、東京での恋に疲れて、沖縄の故郷、世嘉冨(ゆがふ)島に帰って来ました。大きなさんかく山がそびえ、燃えるような緑豊かな島。そこは幼い頃、カマドおばあと暮らした懐かしい場所でした。ところが、近頃は、島を出る家がたくさんあって、マジルーたちも淋しがっていたのです。
島は、折しも村長の息子の結婚式を目前にひかえていました。数少ない島の青年会の面々は、結婚式でお披露目する芝居「大琉球王国由来記」の稽古の真っ最中。演出の昭彦は、やる気満々なのですが、あとの仲間は男だけ。どうも稽古に身が入りません。実は、この結婚は政略結婚。村長は、島のリゾート開発で大儲けを企んでいたのです。
帰って来たのをこれ幸いと、ゆり子は青年会の芝居のヒロインにされてしまいます。そこに、ゆり子の不倫の恋人、敦がゆり子を追ってくるわ、その敦を妻の梨花が追いかけてくるわで、小さな島は大騒動!
そんな時、ゆり子はマジルーと再会するのです。
琉球王朝の末裔の住むこの島を祝福し、ゆり子を見守るのが、マジルーの役目。マジルーは、恋に苦しむゆり子のために、“恋の花の汁”を使って大活躍!
ところが、村長の馬鹿息子は政略結婚の花嫁に逃げられ、ゆり子は、その身代わりにと村長一味に誘拐されてしまうのです!
一方、人間たちがめったに入らない森の奥では、キジムンの王タンメーと女王アンマーハーメーが、
「島の結婚式が最後の機会。そこでお前を信じる人間と心を合わせ、弥勒節を歌えれば、島は救われる」
と、言い残して神の国ニーラスクに消えてしまいます。マジルーは、島に残る唯一のキジムンとなってしまいました。
イヤイヤ、サテサテ、陰謀うずまく結婚式で、ゆり子とマジルーが「恋の花の汁」を大量に振りまいたから、島はデージ大変。おじい、おばあから、青年会まで、恋の花が咲き、接吻の嵐。
はたして、マジルーは弥勒節を歌えるのか。ゆり子とマジルーは、島を救えるのか?二人の運命は?島の未来はマカチョーケー!
sankakuyama no majiru