更新日:2012年01月05日
▲予告編
古代の記憶が宿る万葉の地、飛鳥。かつて男女三人になぞらえ恋歌に詠われた、天香具山、畝傍山、耳成山。その大和三山を有したという日本史上最初で最大の藤原京跡地では、今もなお発掘作業が続いている。朱花という色に見せられた染色家の加夜子は、長年連れ添った地元PR紙の編集者の恋人・哲也と暮らしている。紅花の真紅の液体に布をくぐらせ、したたる血のような朱花色は、加夜子のうちに秘められた狂気にも似ていた。加夜子は、奥明日香の古民家に移り住んでいるかつての同級生であり木工作家の拓未と愛し合っていた。そしてそれは現代に留まることなく、戦前の祖父母の時代の禁じられた恋へと交錯してゆくー。
古代人は、愛しい誰かの訪れを待つ間、季節に実る花や果実にその想いを託して表現した。その「待つ」感覚の中にいた古代人の抱いていたスケール感が吹き込まれた本作は、カンヌの申し子「河瀬直美の到達点」と称賛された。脇役には樹木希林、麿赤兒など実力派俳優が顔を揃え、歴史深い自然に抱かれた故郷、奈良を河瀬自ら捉えた映像美は見もの。カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式招待作品。